C型肝炎ウイルスに感染すると,10年,20年,30年の経過で,慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんへと徐々に進行し,感染者の約20%が肝臓が原因で死亡すると推定されています.慢性肝炎になると,ウイルスが自然に消えてしまうことはありませんが,治療によりウイルスを消失させることができれば進行を食い止めることができます.インターフェロンはそのための最も確立された治療法ですが,3つの問題点があります.

それは,治療効果の問題副作用の問題治療費の問題です.新しいインターフェロン,併用薬の開発,投与方法の工夫により,治療効果は著明に改善されました.週1回投与のインターフェロンでは,副作用も軽くなりました.また,国の肝炎対策事業により,インターフェロン治療に治療費の助成が受けられるようになり,自己負担額は少なくなりました.インターフェロン治療に対する皆様の不安が少しでも解消され,安心して治療を受けられますよう,治療効果,副作用,医療費,治療法の実際についてご説明します.

インターフェロン治療

1.治療のガイドラインと治療効果

C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療には,健康保険が適応されますが,ウイルスの量とウイルスの
タイプによって治療法が決定されます.また,初回治療か再治療かでも治療法が変わります.
ペグインターフェロンの週1回注射とリバリン内服の併用が治療の基本になります.

治療の原則

(1) ウイルス量では高ウイルス量が,ウイルスのタイプでは I 型が,インターフェロンが効きにくいため,
より強い治療を必要とします.
(2) インターフェロン注射単独でなく,リバビリンという内服薬を併用する方が治療効果が高まり,また,
インターフェロンの投与期間が長い程治療効果が高くなります.
この2点をふまえてできた最新のガイドラインと期待される治療効果(ウイルス消失率)を次に示します.
C型慢性肝炎に対する初回治療のガイドライン2009とウイルス消失率
ジェノタイプ/ウイルス量 ジェノタイプ1 ウイルス
消失率
ジェノタイプ2 ウイルス
消失率
高ウイルス量 ペグIFN2b+リバビリン(48~72週間)
ペグIFN2a+リバビリン(48~72週間)
60% ペグIFN2b+リバビリン(24週間) 80%
低ウイルス量 ペグIFN2a単独(24~48週間)
IFN単独(24週間)
80% ペグIFN2a単独(24~48週間)
IFN単独(8~24週間)
90%
ジェノタイプ1,高ウイルス群に対して,以前は,保険上48週間までしか投与できませんでしたが,治療開始12週後にウイルス量が治療前の1/100以下に減ったが消失せず,36週までにウイルスが消失した例では,72週までの延長が可能(推奨)となりました.
インターフェロン再投与の場合や,肝硬変が進行した方で肝臓がんの発生を抑えることを目的とした治療の場合は,投与方法が異なります.
  • ウイルス消失率は良く効くタイプで80%~90%,効きにくいタイプで50%~60%ですが,ウイルスが消失しなかった場合でも,肝臓がんの発生を抑える効果があります.

2.インターフェロン治療の副作用

インターフェロン治療により,さまざまな副作用が現れますが,副作用の程度は人によって異なります.
ほとんどの場合,副作用は可逆的で,インターフェロンを中止すれば副作用は改善されます.
実際の治療に当たっては,できるだけインターフェロンを中止せずにすむように,副作用の程度を
観察しながら投与量を工夫し,治療を続けていきます.


検査データの異常
異常の程度によって投与量を加減します.
    貧血 疲れやすさ,頭痛,めまい,労作時の動悸・息切れ
    白血球減少 感染症に対する抵抗力の低下
    血小板減少 出血しやすい,血が止まりにくい
治療中よくみられる副作用(症状)
ほとんどの場合,インターフェロン中止には至りません.
    インフルエンザ様
症状
発熱,頭痛,関節痛,筋肉痛,倦怠感
    皮膚症状 注射部位の炎症やかゆみ,からだ全体のかゆみ
    消化器症状 食欲不振,腹痛,はきけ,下痢
    脱毛 髪の毛が抜ける
重篤になる恐れのある副作用(症状)
場合により,インターフェロンの中止が必要になります
    間質性肺炎 せき,息切れ,熱が続く
    うつ症状
(自殺企図)
やる気が出ない,気持ちが落ち込む,不安,不眠
    眼底出血 目がかすむ,見えにくい
    脳血管障害 手足の麻痺,言葉が出にくい,手足のしびれ
 
ドクターイメージ

3.インターフェロン治療の治療費

自己負担額

インターフェロン,リバビリンは高額な治療薬であるため,治療費はかなりの額になります.

(例) インターフェロンとリバビリンの投与量は,体重によって異なりますが,
体重70kgの方に,ペグIFN2b(ペグイントロン)とリバビリン(レベトール)の併用療法を行う場合の治療費を計算してみました(2009年8月現在).
毎週貧血検査とインターフェロンの注射を行い,2週間毎にレベトールの処方を行い,月に1回肝機能,ウイルス量の検査を行うと,1ヶ月の 自己負担額(3割負担)は次のようになります.
 
  自己負担額
  注射料 35,900
  薬剤料 25,960  
  検査料 3,870  
  診察料,医学管理料 2,830  
  処方料,調剤料等 1,520  
自己負担(3割)  合計月額  約7万
看護士イメージ
医療費助成制度

2008年4月1日より,C型肝炎のインターフェロン治療に対して,医療費助成制度が始まりました.
2010年4月1日より,自己負担限度額が引き下げられ,インターフェロン再治療の場合でも,一定の条件を満たせば,2度目の助成制度利用ができるようになりました.

福岡県に住民票がある人で,県指定の医療機関でC型肝炎のインターフェロン治療を受ける場合には,医療費の助成を受けることができます.納めた住民税の年額に応じて,毎月の自己負担額が1万円または2万円に減額されます.
助成を受けるためには,住民票のある保健所で申請をし,必要な書類を提出しなければなりません.
助成を受けられる期間は,申請書を受理した月または治療開始予定月から1年間です.医師が72週投与を必要と認めた場合は,1年6ヵ月まで延長できます.
インターフェロン再治療の場合,再治療が医学的に有効と認められる者(前回の治療において,36週までにHCVRNAが陰性化し,72週投与ではなかった場合)については,2度目の助成制度利用が認められます.
当院は,福岡県より指定を受けた肝炎インターフェロン治療の治療医療機関ですので,医療費の助成を受けることができます.
階層区分 所帯あたりの市町村民税(所得税)
課税年額 ※
自己負担
限度額(月額)
A 235,000円以上 20,000円
B 235,000円未満 10,000円
税制上・医療保険上の扶養関係にないと認められる方は,当該「世帯」の
合算税額対象から除外されます.
医療費助成受給までのながれ

4.インターフェロン治療の実際

ペグインターフェロン初回投与の場合の,治療の実際を示します.
原則として入院は必要ありません.副作用が問題になりそうな場合,
最初の1~2週間は入院していただく場合があります.
飲酒は控えてください.リバビリンを併用する場合には,避妊が必要です.
治療イメージ
治療前
検査 1. 血液検査,腹部エコーで,肝炎がどのくらい進んでいるかを調べます.
2. C型肝炎ウイルスの量と型を調べます.
3.

インターフェロン治療を行う上で,問題となるような合併症がないか,

血液検査,胸部X線,心電図,眼底検査等を行います
手続き 治療法を決定し,医療費助成のための診断書・申請書を保健所に提出します.
(手続きに時間がかかることがありますので,早めの申請をお勧めします.)

治療
注射 外来で週1回ペグインターフェロンの皮下注射を行います.
1. 注射の前に血液検査を行い,貧血,白血球減少,血小板減少をチェックします.
2. 血液検査の結果をもとに,インターフェロンの量を決めます.
3. 問題なければ通常量を,副作用が進行すれば,投与量を減らして注射します.
副作用で大きな問題があれば,インターフェロン注射を休止または中止します.
検査 月に1回,肝機能,ウイルス量の血液検査を行います.
必要に応じて,副作用のチェックのための検査を行います.

治療後
検査 毎月1回肝機能検査を行います.必要に応じてウイルス量の検査を追加します.
6ヶ月後にウイルスの量を検査し,治療効果を判定します.

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